Case study
NECパーソナル
コンピュータ株式会社様
多種多様な電波が飛び交う生産現場で、人の動きを見える化!
ラインを最適化し、作業効率の向上に貢献
NECブランドのパソコンを製造・販売しているNECパーソナルコンピュータ。同社の開発・生産拠点である米沢事業場では、継続的に作業効率の改善に向けた取り組みを行っていますが、その一環として工場で働く人の動きを見える化し、さらなる効率アップを図ることにしました。そこで同社は、NSDの自律航法ソリューション「Tracking Navi」を採用。その解析結果をもとに生産ラインのレイアウトを変更し、AGV(無人搬送車)による部材の配送を増やすことで、作業者の動きを最大2/3程度にまで削減しました。
課題
作業効率の向上には、モノの動きだけでなく人の動きの把握が不可欠だが、ビーコン方式では設置数が多くなってしまいコスト面に難があった。
パソコンの生産現場では多種多様な電波が飛び交っており、電波干渉の問題があった。
解決
人の動きを正確に把握できる自律航法ソリューション「Tracking Navi(トラッキングナビ)」を採用。
現場を飛び交う多種多様な電波について調査を繰り返し、干渉の問題をクリア。
執行役員 生産事業部長
竹下 泰平 氏
生産事業部 IoT推進部 部長
茂木 孝行 氏
生産事業部 IoT推進部 マネージャー
坂 雅浩 氏
作業のさらなる効率化には人の動きを可視化する仕組みが不可欠
NECブランドのパソコンについて、企画から開発、生産、販売、サポートまでを一貫して提供しているNECパーソナルコンピュータ。同社の開発・生産拠点である米沢事業場は、RFIDを活用した生産管理システムを国内パソコンメーカーとして初めて取り入れるなど、優れた生産管理手法で知られており、経済産業省の「ものづくり白書」で取り上げられる等、高い評価を受けています。
同事業所の取り組みは「米沢生産方式」と呼ばれており、これまでに2万通りのCTO(注文仕様生産方式)への対応や最短2営業日での出荷などを実現してきました。この点について執行役員 生産事業部長の竹下泰平氏は「私たちは現状に甘んじることなく、継続的に作業効率の改善を図っており、現場からは効率アップに関する独創的なアイデアが次々に生まれています。さらに、そのために必要な治具は作業者自身で作成できるところが大きな特徴です」と語ります。
同社が作業効率の改善に向けた取り組みを進める中、解決として浮かび上がってきたのが人の動きでした。メニューの多いCTOへ短納期で対応するためには、システムの自動化だけでなく、生産方式そのものを工夫する必要があります。そこで同社が採用しているのが、少数の作業者が組み立てから検品まで行なうセル生産方式です。しかしこの際、ラインへの部材の供給は人が行っており、人や部材の配置に無駄が発生していないかという懸念がありました。当時について生産事業部 IoT推進部 マネージャーの坂雅浩氏は「現場での各作業者の動きを知るため、当初はポイントごとに紙のチェックシートを配置し、その場を作業者が通るたびに記入してもらっていたのですが、その手間と集計に大きな負担がかかる上、正確性にも欠けるため断念。センサーなどIoTを活用することで、人の動きを把握できるシステムがないか探すことにしました」と振り返ります。
さらに生産事業部 IoT推進部 部長の茂木孝行氏も「人の動きを生産管理システムなどの情報とうまく結びつけることができれば、トラブル発生時に即座にアラートをあげたり、部材の不足時にすぐ発注をかけたりすることが可能になり、作業効率のさらなる向上が期待できます。そういった意味でも、人の動きを可視化できる仕組みが必要と考えました」と付け加えます。
現場の状況を徹底して調査し電波干渉を回避する手段を講じる
2019年春、NECパーソナルコンピュータは具体的なソリューションの検討を開始。3社からの提案を受けて比較・検討したのですが、一筋縄ではいかなかったといいます。
「当事業所の環境は特殊で、生産しているパソコン自体が電波を発している上、開発部門においてもさまざまな種類の電波が飛び交っています。さらに、管理者やリーダーはスマートフォンを携帯しており、これも別の電波の発信源となります。つまり、センサーを使うシステムにとって、かなり過酷な環境となるのです」(坂氏)
実際、最初に提案を行ったベンダーは、かなりの電波干渉が発生することが判明すると、改善を検討することなく早々に諦めたそうです。第二のベンダーは、すでにシステムが導入されている他社の工場を見学させてくれ、仕組み自体は参考にはなったものの、環境が大きく異なることから、同社への適応は難しいと思われました。
そして最後の提案がNSDの自律航法ソリューション「Tracking
Navi」でした。NSDは、8月に1回目のトライアルを実施。はじめは4、5名で開始し、その後20名程度に拡大して3日間の検証を行いましたが、やはり電波干渉の影響は大きく、特定のポイントにおいてうまくデータを取得できなかったといいます。
「それでもNSDはあきらめず、熱心に解決策を探してくれました。10月に行った二度目の検証では、どのような電波が飛んでいるか調査するためTracking
Naviの機能を一部改良。工場を隅々まで歩き回り、一週間かけて調査を実施しました。おかげで私たちも想定していなかった電波の存在が明らかになり、その上で電波干渉をある程度まで抑える工夫をしてくれたのです。結果、私たちが求めていた人の動きのデータを取得することができました」(茂木氏)
可視化された人の動きをもとに生産ラインの最適化を図る
Tracking Naviで現場における人の動きのデータを収集した結果、工場内の人の動きや部材の配置の問題点が明確になったと言います。
「検証の結果、現場での人の動きが可視化され、中には一日に延べ16キロも歩き回っている作業者がいることもわかりました。そこで、このデータをもとに生産ラインのレイアウトを変更。部材置き場を中央部に寄せ、ラインはなるべく直線的になるようレイアウトを変えました。また、スペースを広くとって、AGV(無人搬送車)による各ラインへの部材の配送を増やしました。これにより、作業者の動きを最大2/3程度にまで削減できました」(坂氏)
なおTracking Naviは、GPSやWiFiなどの外部信号に依存せず、作業者が携帯するスマートフォンに搭載されたセンサーから情報を収集し正確な位置情報を割り出す自律航法を採用しています。
「これはビーコンなどによる測定手法と比べると必要な設置数が少なく、導入・運用コストが少なくて済むのも大きなメリットです」(茂木氏)
収集された膨大な量のデータの有益な活用を目指す
NECパーソナルコンピュータでは今後、Tracking Naviから上がってくる膨大なデータについて、どのように活用していくかを慎重に検討していく方針です。
「今後、対象とする作業者を多くすればするほど、上がってくるデータは増えていきます。しかし、ある程度までフィルターをかけて絞り込みしませんと使えるデータにはなりませんから、そのフィルターのかけ方についても考えていきたいと思います」(竹下氏)
最後にNSDについては、探求心がとても強く、問題があればとことん追求する姿勢、さらに小回りの利く対応を評価しているとのことです。
「私たちはさらなる効率化に向けて、スマートファクトリーの実現を目指しています。今回、ご縁があってTracking
Naviのファーストユーザーとなりましたが、ここでの知見をサービスへフィードバックしてもらうとともに、パートナーとして引き続き情報交換を行えればと思います。今後もぜひ、新しいソリューションの提案を期待しています」(竹下氏)
企業情報
NECパーソナルコンピュータ株式会社様
所在地:東京都千代田区外神田4-14-1
設立:2011年7月1日
URL: https://www.nec-lavie.jp/company/
事業内容:パソコンの商品企画・開発・製造、パソコンおよび周辺機器の販売・故障診断・修理、パソコンのリユース
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