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2021.11.24

製造現場での「見える化」の現状は?モノの見える化からヒトの見える化へ

製造現場での「見える化」の現状は?モノの見える化からヒトの見える化へ

進んでいない「ヒトの見える化」

製造業での「見える化」は以前から行われてきました。 そもそもこの言葉のルーツは製造業であり、そこから他の業界に広がっていきました。

近年、再び「見える化」というキーワードが注目されています。 これはIoT技術の発展によって、部材の状況や装置の稼働状況のデータを容易に収集できるようになってきたことが関係しています。 また、従来は観測が難しかった古い生産設備についても、振動や画像をAIで解析するといった方法で、稼働状況やトラブルの予兆を発見しやすくなってきています。

つまり、機械などの「モノの見える化」に比べ、人員などの「ヒトの見える化」はあまり進んでいないということです。

ヒトの見える化が重要な理由

なぜ「ヒトの見える化」の導入が進んでいないのかを考察する前に、そもそも「ヒトの見える化」がなぜ必要とされるのか、考えてみたいと思います。

製造の「4M」と言われるように、品質や生産性には以下の4つが大きく関係しています。
① Man:作業者・人的な要因
② Machine:機械設備・設備的な要因
③ Material:原材料・材料に関する要因
④ Method:作業方法・方法に関する要因

製造に関する生産性やトラブルなどは、すべてこの4Mが要因と言われています。 とりわけ「Man:作業者・人的要因」は、他の3M全てを動かす主体的存在となるため、4Mの中でもっとも重要な部分だと言われています。 製造現場で発生する課題に対応するには、この「ヒト(Man)の見える化」を重点的に考える必要があるのです。

工場の自動化は進んでいますが、人の作業は完全には無くなりません。 全体的な効率を上げるためには、人の作業の効率化も考える必要があります。

また、パート、外国人労働者など、働く人のライフスタイルや価値観も変わってきている中、これからの工場は、単に効率さえ高ければ良いというわけではありません。 安定した人員を確保し持続可能な工場にするためには、従業員にとっての働きやすさも無視できなくなってきています。 従業員にとって適切な環境となっているかを把握するためにも、「ヒトの見える化」は必須と言えるでしょう。

AIにより様々な予測ができるようになってきましたが、機械の動作より予測が難しいのが人の動きです。 予測が難しく変動が大きな人の動きの把握は、今後、ますます重要となってきます。

ヒトの見える化が難しい理由

では、このように重要な「ヒトの見える化」について、多くの企業が実施したいにも関わらず導入が進んでいないのは、何故なのでしょうか?

機械設備については動作が定型なため、カメラやセンサーなどによる計測の仕組みが確立されています。 ところが、人が行うのは機械設備で定型的に対応できないことであるため、その作業は本質的に非定型なものとなります。 そのため、固定的に設置したカメラやセンサーで決まった場所だけを観測するといった対応ができません。 従来より行われている人の動きの見える化の方法も、専任の担当者が一日ビデオカメラで作業者を観測しそのあと1週間かけて分析するなど、たいへん手間のかかる方法が主流です。

これからの見える化の目的は激しい変化に対応するためですので、年に数回しか実施できない状況だと変化に対応できません。 このように、観測や分析に手間がかかり過ぎることが、導入が進んでいない一番の要因と考えられます。

次の記事では、重要だけど実現が難しい「ヒトの見える化」について、トラッキングナビがどのように実現しているのかを見ていきたいと思います。

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