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2022.12.01

工場のカイゼンにはモチベーションアップが必須!アジャイル組織で生産性向上につなげる

工場のカイゼンにはモチベーションアップが必須!アジャイル組織で生産性向上につなげる

工場の生産性向上に欠かせないのが職場のモチベーションアップです。ただ、人のやる気というのは一番扱いが難しく、一時的に向上してもそれを継続させるのはさらに困難です。

多くの従来型組織では、ライフスタイルや価値観の変化も影響し、従業員のモチベーションをあげるのが難しくなって来ています。
モチベーションアップを継続し、カイゼンのサイクルを回すには、フラットなチームで改革を推進するアジャイル組織を取り入れるのが有効です。
本コラムでは、工場のカイゼンを生み出すアジャイル組織の有効性を解説していきます。

アジャイル組織とは

アジャイルは「素早い」「機敏」という意味があります。アジャイル組織とは、柔軟性に富んでスピーディーな意思決定ができる組織のことを指します。

企業の存在意義は、顧客に価値を提供し、その対価として利益を得ることです。
市場のニーズが激変する現代社会において、顧客に価値を提供し続けるには、ニーズの変化に対して柔軟・迅速に対応できる必要があります。
顧客に対する価値提供を柔軟かつ迅速に行うためには、特定の部門だけアジャイルになっているのでは不十分です。
マーケティング、セールスなど業務プロセスに関わる全ての部署がアジャイルになっている必要があります。

フラットな組織で意思決定が速い

アジャイル組織では、意思決定の権限が現場のメンバーやチームに適切に移譲されています。そのため、現場の状況に合わせて、柔軟かつ素早い意思決定を行うことができます。

アジャイル組織は、プロダクト毎など顧客課題解決を中心にした、クロスファンクショナルな少人数のチームの集合体で構成されます。
少人数を保つことでメンバー間の情報の連携や意思の疎通がとりやすくなります。
また、メンバー一人ずつが自発的に考えて行動するため、カイゼンにも素早く取り掛かれます。

アジャイル組織では現場のメンバー一人一人が権限と責任を有することで、仕事に対する姿勢が自律的なものに変わり、意思決定をスピーディーに行える組織へと進化していきます。

<アジャイル組織のポイント>
1.柔軟・迅速に対応できるよう、状況把握-意思決定-行動といった一連のサイクルを素早く回す。
2.顧客課題解決を中心に据えたクロスファンクショナルなチームで、業務プロセス全体での最適化を行う。

従来型組織との違い

従来型組織では、一般的に階層型(ピラミッド型)の指示系統が主流です。 それぞれチームはあるものの、部門長(工場長や部長職)などのマネジメント層が主だった流れを決め、課長や係長が所属部署に対して細かな方針を指し示します。
現場に権限が移譲されておらず、意思決定には上長の許可を得る必要があるため、現場で察知した顧客ニーズの変化に対して、迅速に対応することができません。

また、組織が機能別に編成されており、業務プロセスを横断する繋がりがありません。 そのため、部門横断の体制を取りづらく、現場がカイゼンのために生産技術や品質保証などといった他の部署と連携を取りたいときにも、工場内の自部署と先方の両方の所属長から許可が必要となるケースもあり、スピーディーに物事が運ぶとはいえない状況になります。

アジャイル組織では、意思決定権が現場に移譲されており部門横断の体制を取りやすいため、業務プロセスの流れにそったカイゼンをすぐに進めることが可能です。

ビジョン共有が大切

アジャイル組織では、現場に権限を移譲するため、明確なビジョンを共有しておくことがとても大切です。ビジョンの共有がないまま権限だけを移譲すると、現場が勝手に行動してしまい、組織全体の方向性が揃わなくなってしまいます。

ビジョンを共有する際も、トップダウンの一方的な押しつけにならないよう、経営層から現場まで双方向で深いコミュニケーションを取り、お互いに理解し合うことが重要です。

工場のカイゼンにはモチベーション向上が不可欠

カイゼンのアイデアと継続性はモチベーションが左右する

なぜアジャイル組織は、従来型組織よりも効果的にカイゼンを進めることができるのでしょうか?
そのポイントはモチベーションにあります。

モチベーションは、日本語では動機付けと訳されますが、その要因に基づいて、いくつかに分類されています。
・生理的動機付け・・・生きるための本能的な動機付け。美味しいものを食べたいなど。
・外発的動機付け・・・報奨や罰則など外部に要因がある動機付け。上司に怒られるから頑張る、報奨金が出るから頑張るなど。
・内発的動機付け・・・自分の内面から湧き起こってくる動機付け。やりがい、成長の実感、使命感、自己実現など。自分がやりたいからやる。

数多くの実験から、内発的動機付けがクリエイティビティを高めるということがわかっています。
つまり、良いアイデアを産むには、外部からの報奨や罰則ではなく、やりがいや成長の実感など内面から湧きおこってくる動機が重要だということになります。
また、外発的動機付けが、外部の報奨(または罰)がある時だけの一時的なものであるのに対し、内発的動機付けは、より持続的であることが指摘されています。
こういったことから、持続的なカイゼンを行うには、クリエイティビティを高めかつ持続的な効果が期待できる、内発的動機付けにもとづく方が良いということが言えます。

では、内発的動機付けを活性化させるにはどうすれば良いのでしょうか。
心理学者エドワード・L・デシとリチャード・ライアンが提唱した「自己決定理論」によると、内発的動機付けの源としては、自律性が重要であると言われています。
「自己決定理論」では、自分が周囲の環境をコントロールできていると感じ(自律性)、自分が有能であると感じられること(有能性)が、内発的動機付けを促進するとしています。
つまり、アジャイル組織の特徴である自律性が、内発的動機付けを高め、質の高いカイゼンを継続的に行うのに効果を発揮するのです。

アジャイル組織は工場の生産性向上にメリットを生み出す

アジャイル組織が生産性向上につながるポイントを見ていきましょう。

スピーディーな対応が可能で指示待ちにならない

アジャイル組織にはクロスファンクショナルなチームに権限が移譲されているため、チーム全体で迅速な動きが可能です。
従来型組織では指示系統の確認を取るだけで時間がかかり、何かを試みようとするたびに逐一書類を作成し、承認を得なければならないケースもみられます。
承認を得るまでに待ちが発生し、ムダな時間ができてしまうことが少なくありません。

カイゼンのサイクルを回す

先ほど触れたとおり、内発的動機付けに基づいて行動するアジャイル組織では、クリエイティブな発想が生まれやすいと言えます。
カイゼンは発想の転換が必要なとてもクリエティブな業務ですので、アジャイル組織化を進めることで、質の高いアイデアを出しやすくする効果があります。
考えたアイデアを現場ですぐに試し、そこから得た知見を次のアイデアにつなげていくといった、カイゼンのサイクルを回せるようになります。

複数部門を横断するカイゼンに貢献

アジャイル組織になることで、複数の部門を横断するカイゼンに取り組みやすくなります。
たとえば、工場のラインで製品の打ちキズや擦りキズなど外観検査のNGが多い場合、どの程度のキズが付いているのか、キズの深さや長さを検査工程や品質保証と連携して調べることになるでしょう。 ここで、キズの程度から発生場所が生産設備から排出されるコンベアーなどの搬送装置と判明した場合、今度は生産技術と連携して対策を講じてカイゼンに取り組むことになります。
このように、根本的なカイゼンを進めるには、複数部門で連携した対応が必要となることが多くあります。
こういった対応を、上長の許可を待たずチーム単位で判断して動けるのはアジャイル組織の強みといえるでしょう。

 

まとめ:工場のカイゼンにはモチベーションアップが必須!アジャイル組織で生産性向上につなげる

アジャイル組織の特徴は、以下の3点です。
・アジリティ・・・柔軟で素早い軌道修正
・スピード・・・早い意思決定、アクション
・クリエイティビティ・・・創造性

従来型組織と異なり、チームや個人に権限を移譲することで柔軟かつスピーディーな対応が可能な組織です。
アジャイル組織は従業員のモチベーションを向上させ、部門を跨ったカイゼンも行いやすくなるため、組織全体の生産性向上が期待できます。

また、アジャイルの根底の考え方には、
・顧客中心主義
・変化への対応
・相互の信頼と尊敬に基づく価値観
といったものがあります。

アジャイルは手法やツールではなく文化であると言われますが、アジャイル組織になるとは組織文化をアジャイル的なものに変えていくということです。
組織文化は勝手にできるものではなく、経営戦略に基づいて意図的に形づくっていくものですので、変革しようという意志と計画的な取り組みが必要です。

アジャイル組織への変革については、様々な企業が試みていますが、現場の理解を得ずビッグバン的に進めるやり方は失敗しやすいと言われています。
まずは、小さな組織からスタートし、徐々に広げていくのが肝要です。

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