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2022.07.11

工場のカイゼン活動は、作業者の「楽になりたい!」を考える

工場のカイゼン活動は、作業者の「楽になりたい!」を考える

「工場 効率化」を目的としてカイゼンを進める際の方針として、カイゼンは作業者が自ら主体的に行うものであり、経営者や管理職は、作業者が目的を理解して「自ら効率化」を進めていくための「支援」を行う立場であると捉えることが重要です。
本コラムでは、作業者の「楽になりたい!」気持ちを考えてカイゼンを進めるためのコツを解説します。

内発的動機付けとは

「内発的動機付け」とは、一般的に「モチベーション」と解釈されている言葉ですが、その人の内部から起こってくる欲求のことです。
反対に「外発的動機付け」とは、人からの評価や報酬などを目的とした動機付けです。いわゆる「にんじんをぶら下げられた状態」のことです。報酬を与えることで短期的にはモチベーションが上がりますが、モチベーションを継続させるためには報酬を与え続ける必要があります。

10年以上前に発刊された書籍になりますが、『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』(ダニエル・ピンク著,大前研一訳,講談社,2010年)によると、特にクリエイティブな仕事については「内発的動機付け」に基づいた方がより生産性が高くなるそうです。創意工夫が求められるカイゼン活動をうまく進めるには、「内発的動機付け」で意欲を引き出す必要がありそうです。

「内発的動機付け」に基づいて作業している状態は、作業者一人一人が作業自体にやりがいや楽しさを見出している状態ですので、持続的な生産性の向上や離職の防止にも効果的だと考えられます。

内発的動機付けを高めるには

では、どのような工夫をすれば「内発的動機付け」を高めることができるのでしょうか。
これには、まず「マズローの5段階欲求説」で言われている、より低次な欲求が満たされていることが前提となります。
マズローの5段階欲求説とは、「人は低次の欲求が満たされると、高次の欲求を満たすために行動するようになる」という内容の学説です。

  • 生理的欲求・・・食事、睡眠、排泄など生きていくための本能的な欲求
  • 安全の欲求・・・安全で安心した暮らしがしたいという欲求
  • 社会的欲求・・・集団に所属したり仲間を求めたいという欲求
  • 承認欲求・・・社会の中で誰かに認められたい、尊重されたいという欲求
  • 自己実現の欲求・・・自分の心の中に秘めている可能性や使命を達成したいという欲求
上記の4〜5が「内発的動機付け」と関連性が高いといえますが、そのためには1、2、3がまず満たされている必要があるということです。

自律的な改善活動に活かすポイント

       

内発的動機付けを実際の改善活動に活かすには、次の3つがポイントとなります。

  • ビジョン、目標を立てる。
    まず、組織やチームとしてのビジョンや目標が必要です。自律性だけでビジョンや目標がないと、各人が勝手な方向に進んでしまいます。全体のベクトルを合わせるために、まずビジョンや目標を明確にし、理解を得る必要があります。

  • 自律性を高める。
    トップダウンでの命令やマイクロマネジメントを行うのではなく、作業者自身に考える余地を与えて、みずから意思決定できるように、心理的安全性の保障や権限の委譲を行います。
    ビジョンや目標を立てる際も、経営方針や事業計画に沿った形でなるべく現場主導で進める方が良いでしょう。

  • 学びの機会と情報を提供する。
    作業者一人一人が自ら正しい意思決定を行うためには、正しく判断するための能力が必要です。また、判断するために必要な、正しい情報にアクセスできる必要があります。

作業カイゼンの方向性=楽に作業が出来る、ムダな動作を無くしたい

作業者の本音は、「作業が楽に進み、負担が少ない方が良い」ということです。 楽をしたいから作業者は「効率化」に参加してくるのです。 しかし、カイゼン活動が「苦労」になるだけで結果として作業が楽にならないとなってしまうと、カイゼン活動が形骸化して実績にはなりにくくなり、不正も起きやすくなります。

例えば、カイゼンの一環として工場のレイアウトを見直す場合、「作業カイゼンの方向性=楽に作業が出来る」ことを目的に考えます。 軽量物を取り扱う工程では、作業者の動きにムダがないことが、作業を楽にするためのポイントです。一方、重量物を取り扱う工程では、「物を動かすべきか?人が動くべきか?」という視点で考えてみます。

生産管理においては、企業にとっての目的であるコスト削減と、作業者にとっての目的である「楽に作業ができる」ことが結び付く必要があります。 品質管理においても、高品質の製品を提供するための「ムリ、ムダ、ムラ」の排除が、作業の負担を減らし、作業者にとっても利益になることだと実感することが重要です。

作業動線の見える化の効果とは?

工場内での「作業動線を見える化」することで、離れた場所間の頻繁な移動や想定外の場所への移動など、「ムダな動き」を発見することが出来ます。 待ち時間がデータで見えるようにできれば、「ムダ」の存在を実感できます。 「作業動線の見える化」を行うことで、今まで気がついていなかった「ムダ」な移動に気付くことができるようになります。

さらに、こういった「作業動線」を作業者自身が見れるようにすることで、気づきを得て自律的なカイゼンが促進されます。 自律的なカイゼンによって作業者自身が良くなっていることを実感すると、職場全体が前向きな雰囲気となり、人間関係やモラルの向上、作業時間の短縮による生産性向上、といった企業にとっての目的にも結び付いて行きます。

まとめ:工場のカイゼン活動は、作業者の「楽になりたい!」を考える

工場のカイゼン活動は、まず作業者の「楽になりたい!」という気持ちを汲むことが何より大切です。 これを外してカイゼンに成功することはありません。 どの様にマニュアルを整備しようとも、教育を施そうとも、企業の強制的な管理体質を改善し、作業者が前向きに取り組む環境をつくらないと、カイゼンはすすみません。

作業者を中心とした組織全体でカイゼンに取り組むには、作業者の人格を尊重し、どんなことでもカイゼンの提案を行えるよう、心理的安全性を確保する必要があります。 マニュアルの整備、作業訓練など教育も重要ですが、一方的に押し付けるのではなくカイゼンすべき点や標準化すべき点など、「楽に作業するコツ」を作業者と一緒に発見する取り組みが大切です。

AIやロボットの導入など先進的な生産技術の導入が進んでも、意思をもってそれを使いこなすのは人です。人の自主性は、今後ますます業務効率化に大きな影響を与える要因となってくるでしょう。

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